安心の共通言語でおいしさを届ける|大阪外食産業協会
- 株式会社フードピクト
- 8月25日
- 読了時間: 6分
更新日:8月26日
株式会社フードピクトは2025年4月に開幕した大阪・関西万博の運営参加サプライヤーとして、料理や食品に含まれる食材を視覚的に伝えるフードピクトを会場内の飲食施設など80カ所以上に提供しています。
会場内で人気を集める大阪外食産業協会のORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』では、あたらしい外食のあり方を世界に定着させていくことをコンセプトに半年間の会期中に80を超える食品企業が出店しており、各店舗でフードピクトをご利用いただいています。
万博の会期も折り返しを迎え、夏休みの親子連れなどで賑わう8月下旬に、パビリオンの運営者と出店者に取り組みを伺いました。

ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』
― 開幕から半分以上が経過しました。お客様の反応はいかがですか?
予想以上に来館者数が伸びています。直近のデータでは民間パビリオンの中で第2位の来場者数を記録しており、万博全体の1日の来場者数の1割にあたる1.5万人ほどが来場されています。
― 大阪外食産業協会として万博に出展された経緯について教えてください
もともと私たちは「食博覧会」というイベントを4年に1度開催しており、2025年がちょうど開催年にあたります。いつもは万博会場がある夢洲の、となりの島にあるインテックス大阪で開催してきましたが、今回は万博会場でスケールアップ版を行えないか、という発想が出発点でした。
出展に向けては紆余曲折もありましたが、やはり大阪といえば食ですし、海外のお客様にもPRできる絶好の機会です。私たちのパビリオンでは、1日単位から数ヶ月単位まで出店者によって営業形態はさまざまですが、すべての関係者にとって大きな挑戦の場になっています。

― フードピクトも全店で表示いただいています。反響はいかがですか?
出店する各店舗や関係者に向けて「ぜひ使ってください」と伝えてきました。フードピクトの導入にあたっては特に難しい点はなく、拒否反応を示す方もいませんでした。
また私たちのスタッフは年齢も国籍も多様で、日本語が得意でないインターンシップも含め、9カ国24人の外国人も働いています。フードピクトは誰が見てもわかりやすい表示であり、とても有効だと感じています。単に人手不足を補うのではなく、それぞれが持つ文化や習慣を活かして共に働くことは外食産業にとって重要な視点で、将来必要となる外国人材を受け入れる社会実験の場にもなっています。
さらに日本人の運営スタッフについても、出店企業の社員やアルバイトだけでなく、そのご家族やシニアのボランティアまで幅広く参加いただいており、その年齢差は70歳にもなります。その中でも一目でわかる表示は非常に役立っており、どの言語で尋ねられても案内できる安心感がありますね。
― お客様からはどのような質問がありますか?
最も多い質問は「ここで食べられますか?」と「この料理には何が入っていますか?」です。外国のお客様からは宗教や文化的な理由で食べられない食材について尋ねられることも多く、夏休み期間にはお子様のアレルギーを気にされる日本人からの問い合わせが増えました。個別に正確な回答をするのは難しい場面もありますが、その際にはフードピクトを見ていただくことで即座に案内ができました。
またフードピクトは列に並ぶ前に判断できる点も高く評価しています。例えばアレルギーのあるお客様には、並んでいただく前に「こちらの商品には〇〇が入っていますので対応できません。こちらのお店はいかがですか?」などと案内ができます。スタッフにとってもお客様にとっても、非常に役立つツールです。
― さらに良くしていくためのアドバイスはありますか?
フードピクトは、運営者や出展者、案内係やお客様など、誰もが安心できる共通言語だと思います。言葉に頼らず、遠くからでも直感的に理解できる。外国の方にとっても大きなメリットですし、案内係の私自身も日々実感しています。
今後は「こうした表示は必要な人だけが知っている表示」という枠を越えて、もっと多くの人の目に留まるべきだと思います。おいしさに寄り添う色合いがやや控えめで目立ちにくい面もあるので、写真映えする工夫やSNSで拡散される仕組みがあればさらに広がるのではないでしょうか。
出店企業「ラカント」からの声

― パビリオンに出店された目的を教えてください
今回の目的は植物由来の甘味料「ラカント」というブランドを、世界のお客様に知っていただくことです。フランクフルトや卵サンドなどの軽食を中心に展開していますが、すべてカロリーを抑え、健康を意識した商品を提供しています。糖質制限をしているお客様にもご利用いただけるよう工夫しています。
― お客様の反応はいかがですか?
実際に海外からのお客様も多く来場され、健康志向やアレルギーへの関心が高いことを感じました。フードピクトがあることで「これなら安心」とすぐに理解いただけるので、大変助かっています。
― 低糖質でおいしいのは嬉しいですね
はい、神戸ビーフ100%のメンチカツサンドは人気商品です。また今の時期はアイスクリームも好評で、幅広いお客様に楽しんでいただいています。
出店企業「全国菓子工業組合/高山堂」からの声

― 今回の出店の経緯を教えてください
弊社は1970年の大阪万博や、1990年の花博にも出店しており、今回も参加すべきだと考え2020年頃から準備を進めてきました。全国菓子工業組合としてブース出展の権利を得て、会員企業と一緒に出店しています。
― 実際に出店されてみていかがですか?
正直に言うとビジネスとしては試行錯誤が続いています。ですが展示会としての役割やマーケティング的な意味を考えれば、次につながる場になっています。
― フードピクトも表示いただいていますね
今回フードピクトはメニューカードに使用しました。特にお客様からの感想は多くはありませんでしたが、それは「問題がない」ということの裏返しだと思います。トラブルもなく、アレルギーや食材に関するクレームもゼロでしたので、フードピクトが十分に機能していると考えています。

― 実際にフードピクトを使ってみた感想はいかがですか?
和菓子の個包装や包材にフードピクトを表示する活用法についても可能性を感じています。会員企業が負担なく使えるなら多くの企業が利用するはずですし、消費者にとってわかりやすくなることは間違いありません。全国の和菓子組合としても今後検討していきたいテーマだと思いました。
大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマに即して、ひとりひとりの多様性に配慮したさまざまな実証が進んでいます。人材不足が続く外食産業において、お客様だけではなく従業員の多様化も進んでいくなか、大阪外食産業協会の取り組みは日本の食産業に対する有意義な提案につながっていると感じました。
取材日:2025年8月19日
インタビュアー:株式会社フードピクト 菊池 信孝
ディレクター:佐久間 文恵
ライター:Plan B
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