top of page

地元大阪と共につくる「食の未来」の可能性|Osaka Metro

  • 執筆者の写真: 株式会社フードピクト
    株式会社フードピクト
  • 8月7日
  • 読了時間: 8分

更新日:8月12日

 株式会社フードピクトは、2025年4月に開幕した大阪・関西万博の運営参加サプライヤーとして、料理や食品に含まれる食材を視覚的に伝えるフードピクトを会場内の飲食施設に提供しています。2025年7月現在、約80カ所へ導入されています。

 

 大阪ヘルスケアパビリオンは「REBORN」をテーマとした、ミライの大阪を感じることができる地元大阪の力が結集したパビリオン。その一角にある様々な協賛企業が軒を連ねるフードエリア「ミライの食と文化」ゾーンにある、「Metro KITCHEN」(メトロ キッチン)でも、フードピクトをご利用いただいています。




 「Metro KITCHEN(大阪ヘルスケアパビリオン内店舗)」は、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)が手掛ける飲食店舗。万博会場最寄り駅である同社の「夢洲駅」を万博に来場する方の多くが利用しています。同社は、交通事業を主とする企業として知られていますが、2023年より飲食事業を開始し、現在は大阪市内に4店舗のレストランやカフェを展開しています。

 

 大阪の交通インフラを支える企業として、「大阪の“街・人・食”を運び、繋ぐ」をコンセプトとした「Metro KITCHEN」の出店に携わられてきたご担当の方に、フードピクト代表・菊池が、大阪・関西万博に関する取組みと今後の展望を伺ってきました。





― 大阪・関西万博へ出店することとなった経緯をお聞かせ願えますか。

 

 2018年の民営化を機に事業を多角化していく中で、飲食事業を始めました。鉄道事業者であるというイメージを強く持たれている中、国際的なイベントである万博に参画することで飲食事業にも取り組んでいることを国内外のお客様に広く知ってもらいたいという思いから、出店することとなりました。

 

 弊社は大阪に根付いた企業ですので、根底には「大阪の街を元気にしたい」という思いがあります。例えば、大阪市立中央図書館内にある「Metro KITCHEN西長堀店」では大阪公立大学監修の健康的で心も体も元気になるようなメニューをご提供したり、他の店舗では大阪のパン屋さんの商品を取り入れたメニューを提供したりしています。

 

 今回の出店でも地元大阪のものを使うことにこだわり、大阪にはこんなに美味しいものがあるんだ、ということを改めて発見してもらいたいという思いで取り組みました。出店エリアのコンセプトは「ミライの食と文化」ですが、弊社の場合は最先端の技術を使っているといった意味合いではありません。大阪の地場で採れたものや大阪の企業の商品を使うことで、生産者さんも含めて継続的に、未来にわたって事業を続けていけるように、という意味を込めて出店しています。


osakametro
(写真左から)Osaka Metro マーケティング事業本部 事業推進部 事業推進課 竹下雄介様、同部 運営部長 田陽介様


― 他の食材ピクトグラムの選択肢もあった中、フードピクトを採用いただいた理由をお聞かせいただけますか。

 

 ひと目見て直感的にわかるデザインであることが大きかったです。ISO(国際標準化機構)とJIS(日本産業規格)のピクトグラム制作規則に準拠しており、1,600店を超える導入実績があることはもちろんですが、カラーユニバーサルデザインのガイドラインにも準拠していて、緑内障や白内障の方にも識別できるというところまで配慮されている、というのが決め手でした。

 また、万博開幕前の準備期間の忙しい中、申込み後に非常にスピーディに対応いただけたこともありがたかったです。

 

 今回は、アレルギーだけでなく宗教による食制限にも対応できる16品目のピクトグラムを表示しています。アレルギーの表示義務がある特定原材料8品目や、特定原材料と表示が推奨されている28品目の表示などの他の選択肢もあった中、フードピクト社として推奨されている16品目での表示を選択しました。私共の他の店舗では、原材料についてはまだメニューに表示はしておらず、個別のお問い合わせに対応する形をとっています。経験のない中でどこまでの品目を表示するかについて、社内でも議論がありました。特定原材料以外のアレルギー表示まで入れるべきか、しかしメニュー表のスペースにも限りがあるといった検討事項もあった中、フードピクトからの推奨品目数が示されていたことが、最終的に社内での合意を取る後押しとなりました。

 

 当店では、現場での調理や加工は行わず、仕入れた商品を盛り付けてお出ししています。アルバイトスタッフでも可能な運営やフードロス削減といった観点からとっている方法ですが、このようにすれば開催期間中に材料が変わることがないので、非常に導入しやすかったです。


osakametro



― 開幕して約3か月が経ちましたが、お客様や従業員の方からの反応はいかがでしょうか。

 

 フードピクトについては、特に現場で「どういう意味か」といった質問を受けることはなく、直感的にご理解いただけているということだと解釈しています。学生の方を含むアルバイトスタッフからも、お客様から質問を受けて困る、意味を教えてほしいといった声もありません。表示がある方が親切ですし、お客様の安心や満足につながると考えています。

 

 ランチボックスはOsaka Metro中央線の400系車両を模した弁当箱で提供していますが、「なんで電車の形なの?」とお客様からお聞きいただいた際、「地下鉄のOsaka Metroがやっているお店です。今日も乗ってこられましたよね。」「乗ってきた!」といった会話が弾むことも多いです。飲食事業の認知を上げたいという思いもあったので、これまで出会わなかったお客様にもお会いできる機会として、よい出店になっていると感じます。


 電車好きのお子さんなどは、ドリンクのストローに付ける電車柄のチャームなどに惹かれてご覧になっている様子ですね。また、海外のお客様にもご利用いただいています。色んな味が少しずつ楽しめる「お弁当」という形式自体も日本的で珍しいということもあるかもしれません。


osakametrolunchbox
大阪産の食材を使ったメニューが少量ずつ楽しめるランチボックス


― フードピクトは「食の多様性への対応」を大阪・関西万博のレガシーにしていきたいという思いで取り組んでいます。貴社の食の多様性へのお考えをお聞かせ願えますか。

 

 インバウンドはもちろん、ベジタリアン・ヴィーガンなど、日本人の方でも様々な食の選択肢が広がってきており、対応への必要性を感じています。それはビジネスチャンスであり、逆に対応しなければビジネスができなくなるとも考えています。弊社が運営する他の店舗では日々食材が変わっていくというオペレーション上の都合から、ピクトグラムの導入には一定のハードルがありますが、まずは万博でできるところからという意識で取り組んでいます。

 

 また、今回フードピクトを採用したことで、メニュー表に文字で表記するよりもピクトグラムで表示した方がよいと感じました。文字がずらっと並ぶより見やすいというのが一番です。それにインバウンドの方も増えている中、英語でも伝わらない場合もあると思います。また、日本語の「たまご」でも「卵」か「玉子」かなど、漢字が違うと見落としてしまうリスクがありますが、ピクトグラムなら分かりやすく、お子さまにも伝わりやすいですね。

 

 さらに食材という観点では、今回提供しているドリンクは大豆由来のソイホイップを使い、乳アレルギー等の方でも安心して召し上がっていただけるプラントベース(植物由来性)商品にしています。ランチボックスにも大豆ミートを使っていますが、大阪のメーカーが作っておられたので、地元大阪のものを使うという意味合いで採用しました。

 

 食の多様性に対応していることを理由に食べるものを選択することもあれば、「美味しいから選んだものが、実は多様性にも対応したものだった」と認識する流れもあるのだろうと思っています。食の多様性対応自体を売りにするのではなく、美味しさで選ばれる。そんな伝え方もあるのではという考えから、地元大阪の美味しいものを知ってもらいたいという思いをもって万博に出店しています。


osakametro
大阪・関西万博の「Metro KITCHEN」店舗前にて、弊社代表・菊池信孝


 大阪・関西万博のような大規模で長期間に及ぶイベントでは、お弁当に使う食材の安定供給にもハードルがある中、約半年という期間を通して、同じメニューを同じ品質で提供しなければいけないという制約があります。そのような状況の中でも、大阪の美味しいものにこだわってメニュー開発をされたご苦労と、それを成し遂げられたお気持ちの強さが感じられました。

 

 また食の多様性への対応についても、まずは美味しさを一番に考え、生産者を含めた地元の事業者と共に作っていく取り組みは見落とされがちな「食の未来」の重要な要素を実践されていると感じました

 

 フードピクトは、共鳴する思いを持った企業の皆さまと共に、大阪・関西万博を契機とした食の多様性対応のレガシーづくりに、引き続き取り組んでいきたいと思います。

 

 取材にご協力いただいたOsaka Metro様、ありがとうございました。

 

 

取材日:2025年7月22日

インタビュアー:株式会社フードピクト 菊池 信孝

ディレクター:佐久間 文恵

ライター:臼井 綾香

コメント


bottom of page